「苦手な野菜の数と年収は比例する」という記事を見て思ったこと
仕事柄、調査結果に基づいた情報をみると、ちょっと「イラッ」とすることがあります。
そういうことはしょっちゅうなので、いちいちあげつらってもキリがないのですが、今回は久方ぶりに書いてみます。
ほう。。。
タイトルからして「ほんとか?」と思うのですが、そのなかでテレビ番組にも出て来る教授の方がこんなことをいってます。
野菜嫌いな人は年収が低いというデータも出ています。食べ物の好き嫌いは、小さい頃のしつけが関係してきます。厳しくしつけをする親に育てられた人は素直に伸び、高収入に繋がるのではないでしょうか。
すごいなあ。。。
さて、ここまでいいきってしまう調査ですが、回収しているのは416サンプル。対象は20歳以上の未婚の男女。
おそらく20代から50代まで10歳刻みで50サンプルずつの均等回収。2サンプルずつ余剰をとったという感じでしょう。
その結果がこちら。
あ、たしかに「嫌いな野菜0種(好き嫌いなし)」のほうが「嫌いな野菜5種~6種」よりも年収200万円未満が数が少ない。。。ようにみえます。
だけど、これが比較して良いのか?が数字を見る上で大事なことです。
だって「嫌いな野菜0種」と「嫌いな野菜5種~6種」がそれぞれ何人なのかがわからないのですから。100人のうちの何%と10人のうちの何%では、重みが違いますものね。
だけどこの数がわからない。わからないならヒントを探す。
ということでもう一つのグラフを発見。
男女別の嫌いな野菜の種類の数のグラフです。
おそらく男女均等に回収しているので、ここから逆算していくと野菜嫌い数別のサンプル数が見えてくるはず。
ひもといていくと...
男女均等に回収しているなら、男性208サンプル、女性208サンプルとなるはず。
この値に、それぞれのパーセンテージを掛け算してあげると、こんな数字になります。
男性 | 女性 | 全体 | |
0種 | 66 | 69 | 135 |
1種~2種嫌い | 70 | 90 | 160 |
3種~4種嫌い | 51 | 39 | 90 |
5種~6種嫌い | 19 | 8 | 27 |
206 | 206 | 412 |
合計が412になってしまうのは、比率をかけて整数化していてあわなくなっているという感じです。
それで、わかったことは、「好き嫌い0種」が135サンプルで、「5種~6種嫌い」が27サンプル。実に4倍のサンプル数の差。
分母にこの差があったうえでの比率の差を「年収に差がある」と言い切ってしまっている。
年代別の未婚率に基づいた回収とかしてないと思いますが、それでもいちお独立性の検定とかやってみたところ、「野菜嫌いと年収に関係はない」という結果になりました。
なのに、思いっきり「野菜嫌いと年収に関係があるんではないでしょうか?」と限りなく関係がありそうな素振りで言ってしまっている。。。
この会社もこの教授も大丈夫か?
さて、好き嫌いを聞いている野菜とは?
じゃがいも、にんじん、たまねぎ、トマト、きのこ類、ブロッコリー
聞いている野菜としての網羅性ではどうなんだろう???半分が根菜だし。
糖質という観点からいくと、きのこ類とブロッコリー以外はむしろ体によくないもの。となると体によくないものを食べるほど、年収が高くなるということかしら?
カラダに良くないものを食べて年収をあげたいか。。。うーん、悩ましいですなあ。